2010年9月7日

意見をしてみるに、 直ちに請合ふ者に、その意見を保つ者なし。

みなさん、こんにちは。フォトグラファーのTetsuです。
タイトルの言葉には続きがあります。
意見をしてみるに、 直ちに請合ふ者に、その意見を保つ者なし。 意見をする人の詞をよく聞きてわが心に考へ、 合点ならぬと思ふところをば、一ト問答も二夕問答もし、 理に詰りてのち、尤もと請る者は、 後までその意見を用いる者なり。
戦国時代の名将で 毛利元就の息子、小早川隆景の言葉です。

人に物を教える時にはどういう風に伝わっているかを確かめながら行うことが大切です。
長年、教える立場が多かったため直接何かを教えた人はざっと40人くらいになります。多くの人を教えた経験から、同じ事を教えても、いろんな反応があるのだと気付きました。
何をもって上策とするかは価値観によるものでしょうが、おおよそ教えられたことを早く身につけた方が得をすることができるでしょう。若い頃の私は物覚えも早かった方なので写真の撮り方もすぐに実践できたり得な性分でした。
その後、徐々に人に物を教えるという立場になったとき一つ壁にぶつかりました。教えた人は、(今にして思えば当然なのですが)私と同じようには理解しないのです。理解の仕方にタイプがあるようでした。当初は何度説明しても覚えてくれないのでイライラがつのりました。自分では簡単だと思う事が他人にはそう感じない。発見でした。それ以来、いろんな人に出来るだけ早く覚えて貰うための教え方という事に意識が向くようになりました。

戦国大名の組織でも同じような苦労があったと思います。人材の能力によらず組織総体としての力を伸ばすには、大将としての人の用い方という智恵を磨く必要があったのでしょう。そこで冒頭の話になりますが、話をしたときの受け答え。その反応一つで人材を見抜くポイントとしている所にこの言葉の真意があります。
大将として自分の意見を100%実施してくれることが、一番短時間で実施してくれ、ストレスがないので気分がいい。ところが真意の理解というポイントでいえば表面的なところだけ従っても、その結果大将の本当の期待する理念とは合わない方向へ進んでしまう事もあります。
引用文はさらに続きます。
真の理解ができる人は、叱られた内容をまず受け止め吟味し、その結果指摘された内容に納得が出来ないときには、何度も聞き返したり、反論したりする反応をする。ということです。
これは上司にとっては非常に不愉快に感じる事ですので、部下から反論されると「とにかく、やってくれ」という言葉で話し合いを切ってしまう。これでは残念。
小早川隆景の言葉には、さらに理解を深めるための部下からの反論を歓迎する空気があります。(なかなか出来ないことですが、名君たる所以なのでしょう)真の理解を共有して貰うための苦労を厭わない姿勢を感じます。

現代の会社も同じです。
多くの企業では収益の追求ということが、その先にある企業理念の実現への手段であったはずがいつの間にか収益自信が目的になってしまうということをよく見受けます。
社会貢献できているということが大切な目的だったということに満足できれば、仕事に喜びを感じて生きていくことができます。多くの人に当てはまりますが、その事に早く気づくと幸せになれますよ。

それではまた。

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